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コンピュータと人とのインタラクションはどのように変化していくのか。むしろどのように変化させ得るのか、それが我々の研究チームのテーマの源泉である。研究は遺伝子を紡ぎ世代を重ねる生物のようなものである。特に情報工学の世界においてはその進化スピードは速い。我々の研究チームは、いかにその研究の遺伝子に突然変異を起こすか、そしてその突然変異の結果生まれた研究がどのように未来に還元されるのかを常に意識し、研究に取り組んでいる。

我々の研究チームで研究するには→コンタクトを参照

Tangible User Interfaces タンジブル・ユーザインタフェース

コンピュータとのインタラクションの直感性を高めるために、操作対象を実物体としたものがタンジブル・ユーザインタフェース(TUI)である。キーボードやマウスとは異なり、日常動作をインタラクションの基本として用いることで、世代・文化・言語に依存しない、使いやすいユーザインタフェースが構築できる。我々の研究チームでは、TUIとしてActiveCubeとその応用、またStackBlockとその応用について検討を進めている。

ActiveCube

1辺が5cmの立方体で構成されたブロック群を用いたTUI。組み立て形状はコンピュータにリアルタイムに認識され、それぞれのブロックが持つ入出力機能を自由に組み合わせて大きな機能を持つオブジェクトを構築できる。

3次元形状検索

ActiveCubeを組み立てることで、類似する3次元形状ポリゴンモデルをデータベースから検索する。通常扱いが難しい3次元モデルを容易に扱うことができるActiveCubeの利点を応用した。また機能ブロックを用いることで絞り込み検索も可能。

TSU.MI.KI

3次元形状モデル検索を利用し、子供向けのエデュテイメントシステムを実装した。子供らが魔法のブロックを使って協力して困難を乗り越えるシステムである。

CognitiveCube

ActiveCubeが誰でも容易に使用できるという特徴を活かし、人の空間認知能力を評価可能なシステムを実装した。評価実験で、年齢に応じた空間認知能力の衰え、早期アルツハイマー病の診断などに有効であることを示した。

StackBlock

ActiveCubeがブロックの面同士をオスメスを意識しながら接続する必要があることから、この制限を克服するために、重ねるだけで(接続することなく)その形状を入力可能なブロックを実装した。現在HWの検証中である。

iClay

1立方㎜級のチップを大量に粘土内に配し、それらチップ間で通信することで,その粘土形状を認識しようとするデバイスである。現在HWの実装中。

Surface Interfaces サーフェス・インタフェース

スマートフォンやタブレットに代表されるマルチタッチディスプレイを用い、ユーザがその表面に触れることで情報とインタラクションするユーザインタフェースがサーフェスインタフェースである。現在普及しているサーフェスインタフェースは現実空間と仮想世界の界面は、ガラス板で区切られている。我々の研究チームでは、情報と現実世界の界面がソリッドなガラス板ではなく、柔らかい物体や、毛状の物体などに変わったときにインタラクションに何が起こるかについて、実際のデバイスを作成し検討を進めている。

FuSA2 Touch Display

100万本の光ファイバで構成された24インチのマルチタッチディスプレイである。FTIRの原理を利用し、タッチ時に反射される赤外光が光ファイバを伝ってディスプレイ面裏に表出し、それをカメラでタッチ認識するとともに、プロジェクタで情報を提示する。光ファイバ表面がセンサかつディスプレイとして使用されるとともに、「なでる」「つまむ」「かきむしる」といったこれまでのタッチディスプレイでは不可能なインタラクションを実現する。

Emoballoon

人同士のソーシャルタッチインタラクションには握手やハグ、殴打など感情が含まれることが多い。Emoballoonは表面がシリコンゴムでできた柔らかい風船型デバイスであり、このようなソーシャルタッチインタラクションをコンピュータにいかに取り込むかについて一つの解を提示するものである。85%の識別率でインタラクションの種類を認識できる。

PolkaDot

通常情報はディスプレイ上のピクセルと呼ばれる光点の集合体で記述される。PolkaDotでは情報を水滴に投影し、水滴の位置・大きさ・色を制御することで情報を提示するディスプレイである。これにより情報を指で触って操作するだけではなく、スポイトで情報を加えたり、ティッシュなどで情報を消したりといった直感的なインタラクションが実現できる。

Ambient Interfaces アンビエント・インタフェース

情報を明示的に提示するのではなく、環境の情報や日常生活で利用しているインタラクションを用い、ユーザに寄り添う形で情報とのインタラクションを実現するインタフェースがアンビエントインタフェースである。我々の研究チームでは特に、無意識に情報を入力する手法、視覚や聴覚だけではなく他の五感を積極的に利用して情報を提示する手法、そして情報を提示することによって、人の行動や思考を変化させる手法について検討を進めている。

SenseChair

現代社会ではデスクの前に座り、目の前に置かれたパソコンを使用するというオフィス形態がほとんどである。SenseChairは着座時の重心と重量を測定し、機械学習することで、誰がどのようにどのような状態で座っているのかを座っている人が無意識に識別できる椅子である。これを用いて、作業支援だけではなく、様々なアプリケーションを検討している。

Funbrella/アソブレラ

人が幼い頃から慣れ親しんでいる自然現象である雨は、小降りであれば柔らかい雰囲気を、土砂降りであれば危険な雰囲気を提示するといった多面性を持ち、また場所や時間に依存したその瞬間にしか体験することのできない情報である。一方で、その雨を遮るために用いられる傘は、その使い方を誰もが知っている身近な存在であり、人に雨を知覚させる、いわば人と雨をつなぐインタフェースとしての役割を担っていると言える。アソブレラは傘を用い、雨の持つ独特の雰囲気を、時間や場所に縛られることなく振動体験として提示できるディスプレイである。

AmbientSuite

誰がどのような状態で何をしているのかをセンシングし、さらに状況をコンピュータによって咀嚼した後にその結果に応じてユーザに様々な情報を提示することで支援することを目的とした部屋である。ユーザの頭部の位置、会話状況、手によるジェスチャがセンシングでき、例えば場の盛り上がりという指数が計算された後、その状況に応じて会話を活性化するような情報を提示するといったアプリケーションであったり、限られたスペースの中で、複数人の動作をディスプレイを用いて同時に制御すると言ったアプリケーションが実装されている。